校長室

入学式式辞

 吾妻の山から暖風吹き阿武隈の水温む今日の良き日に、福島県議会議長様、父母と教師の会会長様、同窓会を代表して副会長様のご臨席を賜り、令和四年度福島県立福島東高等学校の第四十三回入学式を挙行できますことは、大きな喜びであります。
 また、医療現場の最前線はもちろんのこと、県議会、父母と教師の会、同窓会の皆様がそれぞれのお立場でコロナ対応にお力を尽くして頂き、こうして入学式に臨むことができることに、本校教職員を代表して深く感謝申し上げます。
 さきほど、呼名により一人一人の姿を確認し、二百四十名の本校入学を許可いたしました。新入生の皆さん、あらためて入学おめでとうございます。加えて、この晴れの日を待ち望み、お子様の健やかな成長を願い、導き育んでこられました御家族の皆様に心から敬意を表します。
 さて、新入生の皆さん、こうして入学式を迎えた今、どのような気持ちでここに臨んでいますか。高等学校で学ぶという道が開かれた今、皆さんは本校での三年間をどう歩んでいきますか。
 多くの新入生が選抜試験の際、本校の校是「文武両道」をあげ、入学の意志を明確にしています。本校には、皆さんの進路実現のために一人ひとりの能力を引き出し開花させるシステムと、部活動において心技体を鍛え、充実感と達成感を味わえるステージが準備されています。「文武両道」を実践できる道が開かれた今、本校での三年間をどう歩んでいきますか。
 世の中に目を移すと、コロナウィルスの猛威は未だに衰えを知らず、東日本大震災・原発事故からの復興は途上にあり、ウクライナへのロシア侵攻は、私たちが当たり前と感じている平和でさえもろいものだという現実を突きつけます。「ありふれた日常」という言葉そのものが非日常となるような現実が私たちの前には横たわり、これからも続く可能性を考えれば、私たちはまさにパラダイムシフトの端緒に、価値観が劇的に変化する転換点に立っていると言えるでしょう。
 私は、先程来、皆さんに「道は開かれた、どう歩むのか」と問うてきました。その問いは、この変化の激しい時代にあって皆さんが「どう生きるのか」に通ずる問いでもあります。本校で学び、本校で文を修め、本校で武を極め、そしてどう生きるのか。新しい時代において皆さん自身の役割は何か、人として社会に何が貢献できるのか。私は皆さんに問い続けようと考えています。
 保護者の皆様にお話しいたします。今、晴れの姿を見せているお子様は、三年後成人として、新しい時代の担い手としての役割が求められることになります。成人としての社会でのあり方を最も身近で教育できるのは保護者の皆様をおいてほかにありません。今はもう、巣立ちの準備を始める時期なのです。これまでのように保護者の皆様の温かく優しい羽のうちに囲ったままでは、お子様は新しい時代に飛び立つことはできません。失敗を恐れずいろいろなことに挑戦させる必要があります。お子様にとって最良の巣立ち、それは保護者の皆様でしか行うことのできない大切な教育です。家庭での教えに期待しております。
 最後になりますが、来賓の皆様には、これまで同様、本校教育活動へのご理解とご支援をよろしくお願いいたします。
 あらためて、新入生の皆さん、道は開かれています。どう歩むか、どう生きるか、この問いを胸に、まずは最初の一歩を踏み出してください。
 私たちは皆さんを歓迎し応援します。私たちとともに充実した高校生活を送り、新しい時代を生き、社会に貢献する人間として大きく成長することを心から祈念し、式辞といたします。

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